| 【詩の紹介】
川は同じ男を喜ばない
(ヘラクレイトスへのオマージュ)
わたしはいつの日か
別のだれかになってしまってもかまわない
何世紀も変転をくりかえしてもいい
会話ときだけ別人になるのもいい
一言が ちょっとした冗談が
われわれを変えてしまうことだってよくある
そして記憶の中の窓を塗り込め
もう一つの城を空中か水中に造るのだ
するとだれかが古い写真からいなくなる―
一人の友人が
一人の親戚が
幸せそうな笑顔は
今では気難しく
真珠のような涙は
雨粒に変わる
世界は移ろう
過去もまた変わるのだ
ここから永遠へ
長いこと山を見つめていると
山はユーカリの木になってくる
ユーカリの木を長いこと見つめていれば
山になってくる
長いこと生きていれば
一分は一時間になり
愛は習慣になる
生は死になり
死は生になる
― おのずから
時間はどんなものにも影を落とす
死でさえ時間には嫌気がさしている
やがて風が墓碑銘を消すのだから
そして子供たちは遊びを止める
影の軽み
影はじっとしていることができない
本体が動いていなくても
四六時中、動き回っている
影はとても神経質
そして影はマイペース
大通りや草地を
弾みながら優雅に横切っていく
その間、本体はパブで話に興じ
ビールやブランデーを飲んでいる
影はニューヨークの摩天楼を
上ったり降りたり
その両腕を翼のように広げて
羽ばたいている
影は死なない
本体は家の中でもだえ苦しんでいる
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