詩 の 原 故 郷 を 求 め て
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●ヴァレリー・アファナシエフ/著 尾内達也/訳
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ピアノを中心に指揮、小説、詩、エッセイ、パフォーマンス、レクチャーなど、広範囲な活動を行っている。1947年モスクワ生まれ、パリ在住。アファナシエフの発表言語は、小説はフランス語、詩は英語で、英・独・仏・露・伊など、5、6ヶ国語を操る。現在、創作活動は、詩から小説に比重を移しているが、言語について、こんなことを述べている。「ドイツ語もロシア語も第二次大戦とスターリン時代を経て豊かになりました。それはスローガンが言語を豊かにしたのではなく、苦悩が豊かにしたのです。苦悩と罪とは言語の内側に独自の言葉を創り出します。そして、言語の外側にも。」
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【詩の紹介】

川は同じ男を喜ばない
(ヘラクレイトスへのオマージュ)

わたしはいつの日か
別のだれかになってしまってもかまわない
何世紀も変転をくりかえしてもいい
会話ときだけ別人になるのもいい
一言が ちょっとした冗談が
われわれを変えてしまうことだってよくある
そして記憶の中の窓を塗り込め
もう一つの城を空中か水中に造るのだ
するとだれかが古い写真からいなくなる―
一人の友人が
一人の親戚が
幸せそうな笑顔は
今では気難しく
真珠のような涙は
雨粒に変わる
世界は移ろう
過去もまた変わるのだ

 

ここから永遠へ

長いこと山を見つめていると
山はユーカリの木になってくる
ユーカリの木を長いこと見つめていれば
山になってくる

長いこと生きていれば
一分は一時間になり
愛は習慣になる

生は死になり
死は生になる
― おのずから

時間はどんなものにも影を落とす
死でさえ時間には嫌気がさしている
やがて風が墓碑銘を消すのだから

そして子供たちは遊びを止める


影の軽み

影はじっとしていることができない
本体が動いていなくても
四六時中、動き回っている
影はとても神経質
そして影はマイペース
大通りや草地を
弾みながら優雅に横切っていく
その間、本体はパブで話に興じ
ビールやブランデーを飲んでいる
影はニューヨークの摩天楼を
上ったり降りたり
その両腕を翼のように広げて
羽ばたいている
影は死なない
本体は家の中でもだえ苦しんでいる


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