詩 の 原 故 郷 を 求 め て
 
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イーハトーブ賞 奨励賞 受賞の一言
 
わたしはいつも賢治さんに救われた  鈴木比佐雄

 

わたしが十八歳のとき、十五歳の弟が死んだ
一九七三年ごろ、『春と修羅』を読んで
詩を書いて弟と一緒に生きようと誓った

わたしが二十五歳のとき、バブル時代が始まった
一九八〇年ごろ、「虔十公園林」を読んで
野草や自然林を破壊するゴルフ場に行きたくないと思った

わたしが三十三歳のとき、同時代の賢治さんを探し始めた
一九八七年ごろ、「銀河鉄道の夜」を読み返し
「石炭袋」(コールサック)という詩誌を創刊した

わたしが四十三歳のとき、広島の街を歩き回った
一九九七年ごろ、小倉豊文「絶後の記録」を読んで
賢治さんなら核兵器をどう考えるかを考えた

わたしが五十三歳のとき、戦争体験が風化していった
二〇〇七年、「農民芸術概論」を読み返し
「世界がぜんたいの幸福に」なるよう『原爆詩一八一人集』を編集した

わたしが五十四歳のとき、地球温暖化がひどくなった
二〇〇八年、「永訣の朝」を読み返し
賢治さんの詩を入れて『生活語詩二七六人集』を刊行した

 

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