詩 の 原 故 郷 を 求 め て
株式会社コールサック社のグラデーション
第一回 鳴海英吉研究会
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◎第二部 その一 無声映画上映
         『キートンの警官騒動』『瀧の白糸』
         活弁士…万朶(ばんだ)るり子
株式会社コールサック社の役立つスペーサーその二 鳴海英吉の朗読映像放映

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山中真知子 それでは第二部に入らせていただきます。鳴海さんは、徳川無声の先輩に当たる加川榮一の息子さんなんです。それで、伝統の話芸に幼い頃から親しんでいらして、楽屋でも徳川無声に可愛がられたとかそういう環境とか、お父様の血筋も受けていらしたのか、私は鳴海さんと昔から『鰐組』という詩誌でご一緒させていただいたのですが、話術がすごく巧みな方だってお声も素敵だっていうのも知っておりましたが、朗読だけはなぜか聴いたことがないのですが、同人雑誌の『光芒』の皆様が「鳴海さんの朗読はもうプロ級だよ」とか「素晴らしいよ」とかって、ぜひ聴いてみたいなと思っていましたら今回、田上悦子さんが鳴海さんの朗読なさったビデオをお持ちになって、この後皆さんにも聴いていただこう、観ていただこうと思って、今日はとってもラッキーだなあと思うのですが。そういう鳴海さんに因みまして、無声映画を本日上映させていただきます。
  そして、今日の活弁士は万朶(ばんだ)るり子さんです。こちらの素敵な美しい方なのですが。万朶さんは千葉県松戸市のお生まれでして、かつての東京キネマ倶楽部で活躍なさっていまして、チャップリン、キートン、ロイドの古典など、和物では大河内伝次郎の『水戸黄門』、そして入江たか子の『瀧の白糸』、それから『忠臣蔵』や、なんかいろいろ幅広いレパートリーをお持ちです。そして普段、最近は松戸市民劇場の理事長さんもなさっていらっしゃいまして、ご自分でお考えになったオリジナル講談『二十世紀ナシ・シンデレラ物語』──皆さん鳥取県が二十世紀梨の名産でよくご存知かと思うのですが、最初に発見された所は、原産地は松戸市なのですね。そこのところを万朶さんがオリジナルの脚本をお書きになって、松戸観光大使、それで鳥取親善大使で両県の橋渡しをなさっていて、その活弁の最後は、なんと私がいちばん感動したのは、尾崎翠の詩を最後にお読みになって、わたし尾崎翠が大好きなんですね、それですごく何かうれしく思いまして。今日も素敵な活弁を皆様にぜひお楽しみ、じっくり味わっていただきたいと思います。では、よろしくお願いいたします。……(一同拍手)……

万朶るり子 皆さんこんにちは。万朶るり子でございます。今日はほんとうにもう博物館行きの無声映画、活弁をお楽しみいただきたいと思います。
  日本に映画が入りまして百年過ぎました。無声映画の時期というのは大変短くて、明治三十九年に映画が入ってまいりましてからその後四十年間ほどの期間しか無声映画の期間がございません。残念ながらもちろん鳴海さんのお父さんのことはわたくしも存じ上げてないのですが、無声さんよりもさらに昔ということで、おそらく明治の終わりから大正の初めにかけて活動なさった方じゃないかなと思います。いろいろ資料は調べてみたのですが、今現在ちょっとわかるまでは至っておりません。といいますのは、何しろ震災がありまして、戦災がありまして、それでトーキーがありましたから、もうほとんどフィルムというのはあちらこちらに分散してしまいまして、もちろん弁士の方がどんなふうに活動していたかということも全くわからないような状態です。
  現在どのくらい弁士が居るかといいますと、これは弁士というのは日本だけのことでございますので、三十名ほどおります。最近若い方も増えてまいりまして、最近では新しい無声映画の作品も作られたりしておりますけれども、とにかくやらせていただける、上映させていただく機会というのは少ないんですよね。今司会の方がご紹介して下さいました「東京キネマ倶楽部」という所で三年くらい前でしょうか鶯谷に専門館ができまして、一年間そちらで無声映画を上映すると、われわれ弁士の間では「すぐつぶれるよね」って言ってましたら、まあどうにか一年保ったということですが。もう今はそういう所はございませんので、こういうような機会で呼んでいただくと上映するということになっております。
  それで今日の作品でございますけれども、おそらく、そうですねぇ……調べて加川さんがどういうのをおやりになっていらしたのかなあと、わかればそれをと思ったのですが、それがわかる手だてが無いものですから、今日は洋物と和物と二本立てでやらせていただきます。それで、わたくしの持っている作品の中ではだいたい一時間のものが多いのですね。それで一時間観ていただくというのはちょっと大変なものですから、短いものを持ってまいりました。
  最初にご覧いただきますのは、キートンの作品です。無声映画といいますと、たいがい「チャップリン」と言われるんですね。チャップリン、ロイド、キートンというのが三大喜劇王なのですが、キートンはその三人の中でもいちばん都会的な感じ、都会的なセンスを持った役者さんです。ストーンフェイス(表情は変わらない)ということで、大変現代のコメディーに通じるところがたくさんございます。無理に笑わせようというような作為が見られない作品です。また、日本では増田キートンさん、あの方がバスター・キートンから名前をとっているということでも有名でございますね。今日ご覧いただきますのは、大正十一年の作品です。一九二二年ですね。……その辺のお生まれの方、いらっしゃいますか? あっ、リアルタイムで無声映画はご覧になった方はいらっしゃいますか? ……(浜田知章氏挙手)……ご出身はどちらでいらっしゃいますか?
浜田知章 一九二〇年生まれです。
万朶るり子 あ、二〇年ですか?まあ!二歳でご覧になった?浜田知章 (マイクが届かず聴取不可・以下同)
万朶るり子 え? 森光子さんと同い年ですか?(浜田氏発言)……お幾つの時? 十七歳の時? じゃあ向こうの方も十七歳だったわけですよね。…(浜田氏発言)…そうですね、そうですね。はい。…ということで、森光子さんと同い年だということで。わぁ! これからもますます、向こうの方もね、舞台の上ででんぐり返しができるほど…(浜田氏発言)…そうですか。まぁ、うれしい方が前の方に座っていただいております。
  その懐かしさをどこまで再現できるかどうかわかりませんが、先ずは一本目はキートンの『警官騒動』をお楽しみいただきます。

 わたくし万朶るり子の活弁にて、しばしのご高覧の程、よろしくお願い申し上げます。……(一同拍手)……

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