詩 の 原 故 郷 を 求 め て
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韓日架橋 李秀賢4周忌追悼追慕公演
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金井山梵魚寺の木蓮

春を待つ木蓮が蕾をふくらませていた
夕暮れの梵魚寺には人はまばらだった
韓国の若者が一人で物思いに耽りながら
沈黙の石畳を歩いて行った

金井山の中腹の岩には
金色の湧き水があったという
五色の雲に乗って
梵天から金色の魚が降りてきて
楽しそうに水遊びをしていた
義湘大師はこの不思議な光景を見て
六七八年に寺を造った
寺の名を梵魚寺とした
宇宙からやって来る魚こそ
この港町の守り神にふさわしい
と考えたのだろう

すれ違った若者の心には
どんな聖なる魚が住みついただろうか
一五九二年 この寺は 
秀吉軍によって紅蓮の炎に包まれた
八三〇年に建てられた三層石塔だけは
燃えることはなかった
一六一三年 この寺は再建された
丹青の鮮やかで深みのある色彩が
建物に永遠の命を吹き込んでいる

三層石塔近くの大雄殿に安置されている
釈迦牟尼仏、弥勒菩薩、迦羅菩薩は
壁面中の仏絵に囲まれていて
新羅の末裔の仏師たちが
この世に極楽を造ろうとした

いま夕暮れの梵魚寺は黄金色に染まり
木蓮は蕾をひとまわりふくらませている
また一人の若者が
この寺の山門をくぐっていった

 

狼煙台の星畑   

最後に秘密の場所があるんですよ
ガイドの河さんと李さんがにやりと笑った
深夜の山道を車は上っていった
韓国の妖怪でも見せてくれるのか

山頂は昔の狼煙台
天上は星祭で賑わっている
山頂から見ると
釜山は星畑のように大地から発光している

三百七十万都市の灯りが
ひとつひとつ瞬き
天 地 人
この釜山で生きる
ひとりひとりの命が光り輝いている

河さんと李さんはどうしても
私たちをここに連れて来たかった
二月の澄んだ寒さの中で
街の灯りは輝きを増していた

かつて青年兵士たちがこの場所で
東海(日本海)からやってくる
敵の船を見はっていた
彼らの孤独な瞳は
私の遠い先祖であったかも知れない

見てはいけない場所
かつて見たことのある場所
いまこの場所で多くの若者が
街の灯りの美しさに歓声をあげている
私をこの場所にいざなった青年の愛が
彼らの歓声から伝わってくる

海風がこの山頂で渦巻き
銀色のサイクリング自転車に乗った青年は
かつて眼下の星畑へ降りていき
東海を渡り日本へと
ペダルを漕いで行ったのだ

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