「コールサック」日本・韓国・アジア・世界の詩人

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片桐 歩 (かたぎり あゆむ)

<経歴>

1947年、長野県生まれ、長野県松本市在住。

詩集『PATHOS』、『KARMA』、『瑠璃色の時』、『六月の歌』、『予感の地平』、『渇いた季節』、『不条理の森』、『美ヶ原台地』

長野県詩人協会会員。

<詩作品>


心 象

あい色の山脈が雄壮な影絵をおとし
刹那の景象をとどめる日没
最後の残照がはなばなしい
火柱を吹きあげ
大気の層に投げいれた火焰が
のたうち回る
あかね色の微笑
光と闇が拮抗し合う
あがきの争いに屈した地上に
淋しい夕暮れが下りる
外灯に群がる昆虫の羽音が
闇をゆさぶる
高原の星屑



栂池景勝

さあ―神が住む栂池に行こう
麓の石仏が立ち並び出迎える
林の中に神社が建ち
信仰の形を留める
この地方が過酷な山村で
孤立の地であった証なのだろう
ゴンドラリフトに乗って
森林の上を駆けあがっていく
眼下に広がる山並みのうねり
谷間を這い回る川の蛇行
鷹になった眼光で
上がったり下ったりし
空中散歩を楽しみ
栂池自然園の地を踏むと
冷気の風が皮膚を震わせた
空気と水は透明度を増し
イワナの心地よい泳ぎに見とれ
可憐な山野草が群れて咲き
湿原を埋めつくす緑の匂い
沼地の架け橋を歩き回る人の列
前方にせまる白馬三山の峰が
雄大に立ちはだかる城壁
稜線に張りついた雪と青空の色相に
眩しい紫外線が眼を灼き
整合の美麗にひたる感服
陽光を受ける水バショウ
いたどりの茎の太さと
大きさに驚く
堆積した沼を飾る草花の彩り
ワタスゲの白い冠が風にそよぎ
キヌガサソウの清楚な白い花びら
ニッコウキスゲの黄色が映える
水生植物の緑と花の共演に
競い合って咲く種族の安息
雪崩に折れ曲ったダケカンバの樹木
傷ついた樹皮のオオシラビソの
濃紫の実
厳しい冬の日を潜りぬけ
雪を跳ねのける命の芽に
夏の日の到来を喜ぶ若木の葉
ああ―天地を結ぶ頂きに
いにしえの神が降り立った地を
思うままに楽園を造り出し
誰も寄せつけない風雪の時を継ぎとめる
栂池の景勝


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「COALSACK」(石炭袋)96号 2018年12月30日

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