コールサックシリーズ

石村柳三詩集
『夢幻空華』
とぶとぶ/ さくらがとぶ/ 古刹の寺のしめった土に/ 幾万のすきとおった/ さくらがとぶ//とんでちって/ おのれを滅するのが/ ひとつの美のように
(「夢幻空華<過ぎし子供のころを回想して>」より)
栞解説:牧野立雄/水崎野里子/鈴木豊志夫
A5判/264頁/ソフトカバー
定価:2,160円(税込)

解説文はこちら

mugenkuuke

発売:2010年4月8日




【目次】


Ⅰ 津軽平野


十三の木造橋  12
十三の夏  12
渇 き 〈秋の木の葉の一葉散り〉「神曲」地獄編  12
影の嗚咽 〈泣かねばならぬ風土の掟として〉  13
波  14
波  14
背の故郷  15
赤い砂山のなみだ  15
ねぷた 〈わたしの夢想の原風景〉  16
峰の頂 〈芸術院善巧酒仙居士・葛西善蔵の墓弘前市 徳増寺にて〉  17
輪廻の風景 〈北津軽・市浦海岸にて〉  18
恐 山  18
岩木山  20
散華の園  20
小 泊 〈ここは本州の西海岸の最北端の港である。〉『津軽』太宰治  21
海の声  21
鶴の舞橋 〈一九九三年 二女とふる里津軽富士見湖を訪れて〉  23
鏡の中の四季  24
老母への讃歌  25
野の父に眼をとじて  27
お盆の詩 〈大様に下駄の音して盆の道〉 成田千空  28
呼応の道をゆく人 〈津軽の歌人加藤東籬の墓前に佇んで〉  29
ふるさとの血  32
慈しむ風景の地 〈津軽をうたうおのが眼よ〉  34
白いピエロの燈台  35
北国の秋の雲  35
雪  36
雪 〈ああ故郷もいま雪ァ降てるべなぁ。〉高木恭造  36
雪の里 〈雪かぎりなしぬかづけば雪ふる〉山頭火  37
雪 光  38



Ⅱ 根の意志


新しい年  40
春 光  40
季節の詩  41
春ほのぼの  42
桜の風景 〈桜は生命の輝き〉小川和佑  43
桜の墓の風景  44
薫風よ走れ  45
雨新の紫陽花  47
初夏の一日  47
ある初夏の散策 〈初夏に開く郵便切手ほどの窓〉 有馬朗人  48
初夏の樹木 〈あらたふと青葉若葉の日の光〉芭蕉  49
スイートピーの幻想性  50
幻裸の花火  51
幻想螢 〈親一人子一人螢光りけり〉久保田万太郎  52
明 滅  53
ホタル  54
ひまわり  55
ひまわり  56
向日葵の姿  57
頭上の太陽 〈炎天の胸の扉あけて我を見る〉石原八束  58
蝉いのち  59
蝉  61
虹心情 〈虹透きて見ゆわが生の涯までも〉野見山朱鳥  61
螳 螂  62
海の彼岸色  63
秋 桜 〈コスモスや風に乱れて明らかに〉高浜虚子  64
果 物  65
秋 情  65
《いのち》 〈草むらの虫たちへ〉  65
晩秋悲風 〈また、回転の影は……〉『ヤコブ書』第一章  66
大木の肌 〈人も亦木の葉の如し〉ホオマア  67
切り株  67
無明鴉  68
鴉のさけび 〈誰でも一度は鴉だったことがあるのだ。〉村上昭夫  70
やせた猫  71
風のように  72
《楊柳》の意志  73
水の流音 〈水音のたえずして御仏とあり〉山頭火  75
沼  76
根の意志  76
続 根の意志  77



Ⅲ 影の記憶


夜  80
〈幻影火〉  80
影の記憶  81
断ち切れぬ影  82
迷 影  83
影 〈人の語る凡ての虚しき言は……〉マタイ伝第十二章  83
こ こ ろ  84
渇いた生  84
生を喰いつくし  85
何がなんだ!! 〈悲痛なモノローグを喰いつづける人よ〉  86
死 滅  87
死が見える  88
死神さんとの対話  90
貌のふかさ ―わが仮面のための眼を沈めて―  91
自顔を彫る  92
《意志の居眠り》  93
人工風景を走る男  94
死の回帰 〈生れて、すみません〉『二十世紀旗手』太宰治  96
午前三時の残骸  99
夕映心景 〈墜ちていく陽は多くの言葉を知っている〉圓子哲雄  102
幻影回流 〈悪夢の影が頭上で笑っている〉  104



Ⅳ 人間曼陀羅


人間曼陀羅  110
〈人〉 〈時に我しづかなる聲を聞けり〉ヨブ記  111
甘える影  111
愛の引力  112
秋風と女性  113
裸身の華  114
曙 ―或る女性へ  115
  《快楽》 ―けらく―  115
性 ―さが―  117
美 魂  117
踊り子よ!!  118
《生活人》万歳  119
他者への眼  121
深夜の酔人  122
孤独者の酒  123
酔いの光学  123
酒の色 ―男二人の対話の詩―  124
負の甲羅 片桐歩に  126
露伴の墓 〈寶塔長へに天に聳え〉『五重塔』幸田露伴  126
墓中の魂 〈芸術院善巧酒仙居士・葛西善蔵の墓にて〉  127
白秋の碑 〈雨はふるふる城ケ島の磯に……〉   128
てんぷら人間  128
ピアノの鍵盤 〈地下生活者の手記〉  129
樽の中  130
曙 〈友、宮崎祥二郎と蒲生賢治に〉渾沌霧なす夢より 啄木  130
出合いの詩 ―板村真民『念ずれば花ひらく』を読んで―  131
『死の壁』を読んで  133
匂う魂  134
屁は菩薩の匂い  135
わが放屁譚 〈屁にも魂の匂いあり〉  136
《屁》の哲学 ―そのささやかな効用―  137
哀しみを背負い 畏友の歌人K氏へ  139
春の風 〈一九七三年初春 広島市平和公園を訪れて〉  139
穏やかな日々にこそ 〈戦争は愚かなものと湛山翁〉(石)  141
われらは太陽の子  142



Ⅴ 修羅と涅槃


断 崖  146
修羅自然回帰のわが原野の声!!  147
耳について  148
おれの耳  149
心 音  150
《心音》回帰への旅  151
存在への足音  152
足音と足跡 ―時代の峠の歩みを背負いつつ―  153
石ころの唄  155
足 考 〈流露する思念を捉えて〉  158
足もとの風景  159
通勤人の足たち  160
あるがままの足   161
業の花びら  162
さけび  163
盲 目 ―もう一つの自己内在論として  164
硬くなったティッシュペーパー  165
残 像  166
口よどこへ行く  168
舌について  169
語れ語れ語れ 百の舌で語れ  170
鎌なす舌  174
鎌なす舌 〈鎌なす舌をもって、強く叫び〉「アグニの歌」  175
力あらば 〈まことの詩人に……〉  176



Ⅵ 深夜の人生哲学


《深夜の人生哲学》 〈われらおでん学派〉  178
世の回転 〈世は耳にきこえないで回転する〉ニーチェ  179
続・世の回転 〈わが言を信ぜよ!〉ニーチェ  180
高層ビルは墓だ!!  180
見知らぬ街  182
鍵 盤  182
《扉》  183
鋸の作用  184
炎の樹木  185
玉 、今日わ!!  186
〈酒〉  187
化粧のとけた顔  188
てんぷら  188
鏡の効用  190
鏡の笑い  191
《針》  191
骨の本音  193
素朴な音  194
夢と音と光と  195
足 音  196



Ⅶ 化城の世人


化城の世人  198
精神の借金  199
無明地図  200
わが《空華》花火  201
予感の眼  202
眼 球 ―詩人の眼考  203
流転の眼 〈私たちは死への存在である〉ハイデッガー  204
《徒 労》  206
自己眼底  207
いのちの見方  208
源流地図  210
地平への泪  211
風景をみつめよう  212
運 勢  213
空の一念三千  215
前を行く人 〈石はそのことのみを語る〉『リグ・ヴィーダ讃歌』  216
狂 雷 ―精神麻痺の闇光を背負う人たちよ  217
〔密封〕 〈われら誓願としての認識へ〉  219
《仏讃歌》 仏陀は座す  222
仏さまは飛ぶ  222



Ⅷ 夢幻空華


万年筆  226
夢幻空華 〈過ぎし子供のころを回想して〉  226
好い児  227
一匹の蝶 〈一九七九年八月十一日に無事誕生した長女栄子と妻に〉  229
たんぽぽ ―幼ない二人の娘たちへ  230
乳母車 〈―嫁ぐ娘へ〉  231
春の心音  232
絆  233
除夜の鐘  234
梵 鐘  235
迎 夢  236
元旦の夢 〈命継ぐ深息しては去年今年〉石田波郷  236
光 明  238
ときには夢想のなかで  238
未来圏からの風  240
風のかたらい  241
燈 明  242
曙 光 〈新たな時代は世界が一の意識になり生物となる方向にある〉賢治 243
21世紀への光彩  244
深呼吸  245
深呼吸はウィットな哲学  246
五重塔 〈寶塔長へに天に聳え〉露伴  247
祖師堂 〈下総中山法華経寺にて〉  247
身 軽  248
青い波  249



詩作品初出一覧目録  250
あとがきにかえて  258
著者略歴  263




【詩篇を紹介】


夢幻空華 〈過ぎし子供のころを回想して〉


  るるる
  ひらひら り

とぶとぶ
さくらがとぶ
古刹の寺のしめった土に
幾万のすきとおった
さくらがとぶ

とんでちって
おのれを滅するのが
ひとつの美のように

  るるる
   ひらひら り

幼児のちるかなしいいのちのように
さくらは
おのれをちるもののごとく
みごと
孤高にちる

すきとおった
はかなさの
再生することをつつんで

  るるる
  ひらひら り

静謐のやみに沈む去年の思念
空華のさくらは
ただただ
夢魂をみせ
影ひく夕映のいのりに
ちるいのちの〈生〉のひとときをみせ
    (一九八〇年四月中旬 市川市中山法華経寺にて)

  *夢幻空華=道元の『正法眼蔵』の一文に見られる。



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