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天炎えて特攻の碑の影探し
忘れもしない、国民学校四年生の私は、一人で特攻機を見ていた。
(四章 特攻兵士・巡礼 より)
昨年8月刊行『戦績巡礼』が大変好評だったため、新たな書き下ろしタイトルを追加収録した増補改訂版を刊行します。
推薦 梅原 猛 『考える愉しさ』(新潮社)より。
| 解説文:鈴木比佐雄 |
| 四六判/256頁/上製本 |
| 定価:1,500円(税込) |
発売:2010年8月15日
【目次】
目 次
推薦 梅原 猛
一章 大陸・巡礼
秋天の悲しきまでに白き雲 14
二〇三高地さざんか揺らす風 16
乃木坂の思はぬ蟇に逢ひにけり 18
秋風の僅か流るる盧溝橋 20
伏牛の辺より白蝶翔ちにけり 22
西日照る七三一の部隊跡 26
風激しくなる大連の夕焼雲 30
麦の青果てなし蘇州に続く道 32
虹立ちぬライオンのはく水の弦 38
しぐるるや寝釈迦の前の一兵卒 42
ひっそりと赤の広場の春の雨 46
鳥追の布残されし刈田かな 50
残照の果てなかりけりうろこ雲 52
寂としてサハラ砂漠の星無数 54
遠雷淋しき時に鳴りにけり 58
二章 太平洋諸島・巡礼
拳強く握る真夏の真珠湾 66
バンザイ岬海上に湧く雲の峰 70
夏草やモンテンルパの観世音 72
水牢をのぞき込みたる暑さかな 76
逝く夏やB29の滑走路 80
夏の海光るマゼラン上陸地 82
白き蝶舞ふ司令部の廃墟跡 86
炎天覆ふ千のこうもり乱舞して 88
涼しさや椰子の葉先の昼の月 90
三章 東京・広島・長崎・巡礼
飛行雲夏草の果て暮れ残る 96
小船漕ぐ人新樹光あふれゐて 98
亡き父の真意に気付く今日の花 102
灯消し正座して聞く花火音 112
蜻蛉や水草揺るるままにゐて 114
天空に機影消えゆく原爆忌 118
陽を浴びてゐる半眼の雨蛙 122
四章 特攻兵士・巡礼
天炎えて特攻の碑の影深し 128
白雲の映るがわびし夏の川 132
海に向く特攻の碑や寒雀 136
人間魚雷錆びひとひらの山桜 138
逃げ水や霞ケ浦に浮く帆船 142
五章 沖縄・巡礼
海原の沖へ沖へと白き蝶 150
秋の空墓石声なく群がりて 152
激戦の跡紫のすみれ草 154
獅子を誘ふに似て黄水仙 158
とかげの子瞬時石垣に隠れたる 164
炎上の幻に似てももたまひ 166
はまゆうや掌にある星の砂 170
春月と波打ち際を歩みけり 172
流れ星いくつ流るる喜屋武岬 176
遠雷や死なばなりたき夕暮色 180
六章 戦後・巡礼
藁馬に水を供へる敗戦日 186
一枚を文庫にはさむ渓紅葉 190
消防車幾台通る雪の夜半 192
色なき風白衣の人の会釈して 194
若夏や江田島に寄る波の音 198
甘薯煮て坊ちゃんの清に似たるかな 206
花びらを追ふ幼子を母の追ふ 208
良寛の修行跡とや遅桜 212
背鏡で帯結びゐる終戦日 214
春灯嫁ぐ前夜の寝顔かな 218
うぐいすや太古を語る要石 220
遠峰晴首立てて鳴く鶴の恋 224
遠き日やビルの谷間の夏の月 226
誰が魂と知らねど今朝の白桔梗 228
今を咲く万朶の花や無言館 230
指軽く結び秋風通しけり 234
解説 鈴木比佐雄 240
あとがき 252
著者略歴 256


