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井口時男評論集
『近代俳句の初志 ― 子規から新興俳句・震災俳句・沖縄俳句まで』
東日本大震災は、どんなに被害が大きくても、原発事故があっても、語弊があることを承知で言いますよ、東北なんです。私も新潟県の雪深い田舎で育って仙台で学生時代を過ごしましたから、どっちかと言えば東北の人間で、東北に大きなシンパシーを抱いています。でも、残念ながら、東北がやられても日本は変わらないんです。…中略…しかし、文学ジャンルの中で、東日本大震災後に大きく変わったジャンルが一つだけありました。それが俳句なんです。―「Ⅰ 喩の力 ―震災俳句を中心に」より



四六判/304頁/並製本 ISBN978-4-86435-667-1 C0095
定価:2,200円(税込)
井口時男評論集『近代俳句の初志 ― 子規から新興俳句・震災俳句・沖縄俳句まで 』

発売:2025年7月9日



目次

Ⅰ 喩の力 ―震災俳句を中心に

 1 関東大震災後と東日本大震災後―俳句だけが大きく変わった

 2 関東大震災後―虚子と碧梧桐と田山花袋

 3 東日本大震災後の変化 ―多数の震災俳句の出現

 4 俳句は「雑の詩」である―野ざらし延男と宗左近

 5 「非空非実の大文学」―子規の改革の「初志」と碧梧桐と虚子

 6 写生は比喩を排除する―子規、碧梧桐、虚子の比喩句

 7 新興俳句―秋桜子の反逆と子規の「初志」の継承

 8 喩の解放―新興俳句の冒険

 9 新興俳句と戦争と弾圧

 10 昭和(戦前)の虚子の比喩句(付・茅舎)

 11 戦後の「社会性俳句」と金子兜太の試み―イメージの力

 12 「前衛」の後退―「転向」と「軽み」の時代

 13 喩の力―俳句の無時間性と象徴性

 14 喩の力―東日本大震災を詠んだ句


Ⅱ 近代俳句史の陥穽 ―写生説をめぐって 子規・碧梧桐・虚子

 一 正岡子規1 柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺

    写生の虚と実、または、作品は作品から作られるということ

 二 正岡子規2 いくたびも雪の深さを尋ねけり

    境涯句と私小説、あるいは、俳句は作品として自立できるか

 三 正岡子規3 糸瓜咲いて痰のつまりし仏かな

    俳句とユーモア 付・漱石と写生文

 四 河東碧梧桐 赤い椿白い椿と落ちにけり

    写生から自由律へ―「前衛」の試行錯誤

 五 高浜虚子1 桐一葉日当りながら落ちにけり

    写生と空想、または客観と主観

 六 高浜虚子2 春風や闘志いだきて丘に立つ

    述志と比喩

 七 高浜虚子3 白牡丹といふといへども紅ほのか

    客観写生の功罪

 八 高浜虚子4 流れ行く大根の葉の早さかな

    花鳥諷詠の功罪


Ⅲ 新興俳句逍遥

 一 天窓から原爆 ―秋桜子、白泉など

 二 てふてふが前衛海峡を渡っていった ―誓子、青子、赤黄男など

 三 モンタージュから人体切断へ ―誓子、桃史、白泉など

 四 青春とイロニーと黒い笑い ―草城、白泉、三鬼など

 五 戦争とイロニーと俳句 ―栄坊、白泉、三鬼など

 六 自由と浮力 ―草城、草田男など

 七 詩と俳句のあいだで ―窓秋、赤黄男など


Ⅳ 季節に認識ありやなしや ―我が俳句

 一 突つ立ち並ぶ葱坊主 ―俳句的日常

 二 三つのあとがき

   1 『天來の獨樂』あとがき

   2 我が俳句―あとがきを兼ねて(『をどり字』あとがき)

   3 『その前夜』あとがき

 三 季節に認識ありやなしや(朔太郎)

 四 貫く棒の如きもの(虚子)

 五 長子家去る由もなし(草田男)

 六 草二本だけ生えてゐる(赤黄男)

 七 風景を栽える

 八 いまも前夜か

 九 焼き鳥とホロコースト ―俳句と無意識

 十 自句戯解〈ジュウジュウと万のサンマを焼く火もがな〉

   ―怒りと憎悪と俳句

 十一 筑紫磐井『戦後俳句史 nouveau 1945-2023 ―三協会統合論』書評

 十二 沖縄俳句 ―「マイナー文学」の彼方へ

    野ざらし延男『俳句の地平を拓く―沖縄から俳句文学の自立を問う』書評

 十三 おおしろ建句集『俺の帆よ』書評

 十四 俳句とオノマトペ

 十五 「限界芸術」と名句たち ―俳句とポピュリズム


  初出一覧

  あとがき




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