宮澤賢治

コールサック社は、宮沢賢治の他者の幸せを願う精神を後世に引き継ぐために、多様な観点から本格的な宮沢賢治の論考を刊行し続けています。 例えば、戦後に花巻へ移住し、賢治の関係者から半世紀にわたり取材を続け、第25回宮沢賢治賞を受賞した吉見正信『宮澤賢治の心といそしみ』『宮澤賢治の原風景を辿る』。賢治が作詞・作曲した楽曲を採譜し研究し、宮沢家からも功労者と称された音楽家・中村節也『宮沢賢治の宇宙音感』。「雨ニモマケズ」の後に記された文字マンダラを日蓮マンダラと比較研究した僧侶・文学博士の桐谷征一『宮沢賢治と文字マンダラの世界 増補改訂版』。末原正彦『朗読ドラマ集 宮澤賢治・中原中也・金子みすゞ』など、多くの研究者が独自の観点から賢治の魅力を掘り下げています。
また、賢治の詩的精神を引き継いだ詩人・村上昭夫『村上昭夫著作集〈上〉〈下〉』も刊行され、その中の「動物哀歌」(未発表詩95篇収録)は特に読み継がれています。

宮澤賢治

アンソロジー
詩歌集

アンソロジー詩歌集

コールサック社は、一年に一度は詩人・歌人・俳人たちの力を結集し、現代までの歴史を担う証言となるような作品を集め、現代の『万葉集』のようなアンソロジーを刊行したいと考えています。そのため、2006年の創業以来、詩集・詩歌集を毎年公募し刊行してきました。
代表的なものとして、湯川秀樹帯文『原爆詩一八一人集』(日本語版・英語版)、早乙女勝元帯文『大空襲三一〇人詩集』、坂本龍一帯文『脱原発・自然エネルギー218人詩集』(日本語・英語合体版)、坂本龍一帯文『非戦を貫く三〇〇人詩集』などがあります。
さらに、『ベトナム独立・自由・鎮魂詩175篇』(日本語・英語・ベトナム語合体版)、『少年少女に希望を届ける詩集』、『東北(みちのく)詩歌集』、『沖縄詩歌集』、『アジアの多文化共生詩歌集』、『日本の地名詩集』、『多様性が育む地域文化詩歌集』、『広島・長崎・沖縄からの永遠平和詩歌集』(日本語版・英語版)、『人新世の生活世界詩歌集』、『稲作文化の詩歌集』などを刊行しています。
2026年は『故郷と異郷の対話・連帯詩集』を初秋に刊行する予定です。

広島

長崎

東京大空襲

コールサック社は、東京大空襲、都市への空爆、沖縄戦などの経験を経た日本人が、平和憲法の下で二度と他国を侵略することなく、世界中の国が核兵器・無差別大量破壊兵器を使用しない「永遠平和」の世界を目指すために、日本人の悲惨な経験を詩歌で語り継いでいく書籍を発信してきました。
具体的には、2006年8月にコールサック社を設立した際、最初に企画したアンソロジーが『原爆詩一八一人集 1945-2007』(日本語版・英語版)でした。 2007年に刊行し、翌2008年には宮沢賢治の平和精神を世界に発信したことが評価され、「イーハトーブ賞奨励賞」を受賞しました。
この2冊は版を重ね、広島平和記念資料館や長崎原爆資料館などでロングセラーとなっています。2009年にはロンドン空襲やドレスデン空襲などの世界の空襲の詩を集めた『大空襲三一〇人詩集』も刊行しました。
2024年・2025年には続刊として、被爆者・田中熙巳帯文『広島・長崎・沖縄からの永遠平和詩歌集』(日本語版・英語版)を刊行しました。
広島原爆の代表的詩人として橋爪文『8月6日の蒼い月』、上田由美子『八月の夕凪』、また長崎原爆では『山田かん全詩集』などを刊行しています。
『浅見洋子全詩集―南千住・泪橋・水俣・東京大空襲』に収録された日英詩集『独りぽっちの人生(せいかつ)』(岡和田晃訳)は、東京大空襲で残された戦争孤児の実相を当事者の証言からすくい上げ、その悲劇を世界に発信しています。

広島・長崎・
東京大空襲

福島・東北

福島

東北

東北地方は、古来より西行や芭蕉などによって歌枕で詠われた憧れの場所でした。コールサック社は、その詩歌の原郷とも思われる福島・東北がどのように破壊されて、また復興に向かっていくかを見つめていきたいと考えています。
東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故が起きた2011年3月11日から2か月も経たない5月上旬に、若松丈太郎評論集『福島原発難民』を刊行しました。これを機に、震災文学・原発事故文学を多く手掛けるようになりました。
若松丈太郎は1994年にチェルノブイリを訪れ、連作詩「かなしみの土地 6神隠しされた街」において東電福島原発事故を予言していました。その後、2021年に詩集『夷俘の反逆』を刊行した後に他界し、翌2022年に『若松丈太郎著作集 全三巻』が刊行されました。
福島県では、会津の前田新『詩人の仕事』『会津草莽伝』、浪江町の鈴木正一『あなたの遺言―わが浪江町の叫び』、根本昌幸『根本昌幸全詩集―わが浪江町』、双葉町の志賀泉『爆心地ランナー』などを刊行しています。
俳句では、福島・須賀川の永瀬十悟『三日月湖』、岩手の照井翠『泥天使』『龍宮』(文庫新装版)、宮城の渡辺誠一郎『俳句旅枕 みちの奥へ』などを刊行しています。

沖縄文学

沖縄は古来より琉球という独立した国であり、神祭りの世界で謡われた歌謡・おもろを収録した大冊『おもろさうし』を残しています。そうした琉球文化は、琉歌や組踊といったミュージカルとしての舞台芸術も伝えてきました。コールサック社は、このような豊かな伝統文化を持つ沖縄が、今後どのような新しい文学やアートを生み出していくのか、その創作の現場から本づくりに関わっていきたいと考えています。
2016年に、沖縄を代表する詩人・八重洋一郎(石垣島在住)の詩集『日毒』を刊行しました。その後、『血債の言葉は何度でも甦る』『転生・全方位クライシス』『遠流の果てから』と続き、4部作は2025年に完結しました。
『日毒』は哲学者・高橋哲也、日本思想家・鹿野政直などにも衝撃を与え、日本の戦争責任を問い続ける概念として注目されました。
2022年には芥川賞作家・又吉栄喜の44編を収録した『又吉栄喜小説コレクション 全4巻』を刊行し、20名の研究者による共著『又吉栄喜の文学世界』も刊行しました。その後、2025年には第5巻・第6巻も刊行されています。
同年、野ざらし延男『俳句の地平を拓く―沖縄から俳句文学の自立を問う』が第27回日本自費出版文化賞・色川大吉賞を受賞しました。
また、寺山修司と親しく文通した糸満の歌人・喜納勝代の全貌を伝える『喜納勝代著作集―全歌集・俳句・エッセイ・連載記事』も2026年に刊行予定です。

沖縄文学

俳人の証言文学

俳人の証言文学

ベラルーシの作家・スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチは『チェルノブイリの祈り』でノーベル文学賞を受賞しました。原発事故に遭遇したウクライナの人びとに取材してその実相を記録した証言文学は、20世紀の文学の一つの可能性を示しました。コールサック社は、日本においてもその可能性を生きた俳人として黒田杏子がいることに気付き、黒田杏子が生前に企画した書籍を刊行し続けています。
黒田杏子は、昭和を代表する俳人たちの生涯を語らせ、その時代の民衆史であり証言文学となりうる試みを平成10年頃から続けてきました。
その実践を元に、2021年にコールサック社から黒田杏子・編著『証言・昭和の俳句 増補新装版』が刊行され、版を重ねて3版目となりました。この13名の証言文学ともいえる生き生きした文体は、黒田杏子が対談を一人語りに直した功績によるものです。
その手法を踏襲した董振華は、黒田杏子の支援を得て『語りたい兜太 伝えたい兜太—13人の証言』『兜太を語る—海程15人と共に』『語りたい龍太 伝えたい龍太—20人の証言』『師を語る友を語る—24人の証言 語りたい俳人〈上〉〈下〉』(高野ムツオ監修)などの聴き手・編者となり、その志を継いでいます。
また、関悦史も「コールサック」誌上で黒田杏子企画『昭和・平成俳人の証言』の連載を継続しており、近いうちに『証言 平成・令和の俳句(仮)』が誕生する予定です。
2026年には水俣出身で親族に加害者と被害者の双方がいる武良竜彦は、評論集『石牟礼道子 たましいを浄化する文学』を刊行し、石牟礼道子が小説だけでなく詩・俳句・短歌などの短詩系文学も含めた全体像からたましいの救済を読み取っていきます。

著作集、全集、選集

コールサック社は、優れた表現者が他界した後、その全貌を明らかにし後世に残すために、著作集・全集・選集の企画・編集・刊行を提案し、その実現を目指しています。
若松丈太郎が2021年4月21日に他界した一年後、2022年の命日に『若松丈太郎著作集 全三巻』を刊行しました。
2026年2月に刊行したコールサック哲学思想選書[1]であるアルムブルスター哲学思想論集『歴史的実存と理性』のルドヴィーク・アルムブルスターは、ヤスパースやアドルノから直接哲学を学び、戦後に来日し上智大学で多くの学生を教えた司祭・哲学教師でした。その教え子の哲学者たちが本書の原稿を翻訳しまとめ上げました。特に後期シェリングの実存主義につながる論考は「歴史的実存と理性」というタイトルに結実していきます。
2026年7月には『加島祥造著作コレクション 全3巻』を刊行しました。続いて8月には『森荘已池著作コレクション 全三巻』を刊行します。 宮沢賢治に高く評価され、賢治作品を世に広めた最大の功労者である森荘已池(そういち)は、「氷柱」で芥川賞候補、「蛾と笹舟」「山畠」で直木賞候補となり、今回の著作集により、その文学の全貌が明らかになります。

著作集、
全集、選集

児童書、教育書、
芸術書

児童書、教育書、芸術書

宮沢賢治の童話は、子どもだけでなく大人も夢中になる魅力を秘めています。子どもも大人も何度も読み返したい、そんな絵本や童話や画集や写真集や多様なアート集なども刊行していくつもりです。
2025年には、コールサック社新美南吉絵本コレクション三巻(鈴木靖将〔画〕)『でんでんむしのかなしみ』『ごんぎつね』『ひろったらっぱ』を刊行しました。新美南吉記念館などで販売しています。「ごんぎつね」は小学校4年生の教科書にも収録され、鈴木靖将のイラストも一部の教科書で掲載されています。
同年には、東山魁夷の絵画と松本猛が発見した写真を並べて論じた松本猛『東山魁夷 絵と写真の秘密』を、長野県立美術館東山魁夷記念館35周年記念展に合わせて刊行しました。現在も同館の書籍コーナーで販売が続いています。
また、笛吹市の飯田秀實『山廬の四季 蛇笏・龍太・秀實の飯田家三代の暮らしと俳句』は山廬俳諧堂などで販売が続いています。 沖縄のローゼル川田『随筆・水彩画 よみがえる沖縄風景詩』も、失われた懐かしい風景を現在に甦らせています。
また俳人・夏井いつき推薦の『松尾芭蕉三〇句・俳句かるたミックス』(日本語版・英語版セット)は、俳句を上句・中句・下句の3枚に分けて取り合い、8歳から遊んで芭蕉の30の名句が身につき、中学生には英語版で芭蕉の俳句を通してバイリンガルを目指せる画期的な俳句かるたで、お子様や外国の方へのプレゼントにも最適です。

翻訳

海外文学

コールサック社は、『原爆詩一八一人集』の日本語版と同時に英語版を世界に発信しようと構想して創業しました。当初から詩歌・文学の世界は国境を越えていくと考え、その可能性のあるものは英語などの外国語に訳し、本を通して外国文学と日本文学が相互に影響を与え合う環境を作るべきと考えておりました。
創業した2006年8月には、現代韓国を代表する詩人・高炯烈(コ・ヒョンヨル)の詩集『長詩 リトルボーイ』(韓成禮訳)を刊行し、広島に高炯烈を招いて出版記念会を開催しました。 戦争責任や永遠平和を根源的に問い続ける表現者たちを支援してきました。
翌2007年には『原爆詩一八一人集』英語版『Against Nuclear Weapons A Collection of Poems by 181 Poets 1945-2007』を刊行しました。
それに応える形で、ICAN創設者の一人であるデイヴィッド・クリーガー詩集『神の涙—広島・長崎原爆 国境を越えて』(日英合体版)が2010年に刊行され、版も重ねて長崎原爆資料館でロングセラーとなっています。
3・11以後の2012年には坂本龍一帯文『脱原発・自然エネルギー218人詩集/Farewell to Nuclear, Welcome to Renewable Energy』を刊行。 2015年には尹東柱(ユン・ドンジュ)詩集『空と風と星と詩』(上野都訳)が刊行され、現在3版目となっています。
戦後80年を期して2025年には『広島・長崎・沖縄からの永遠平和詩歌集』の英語版『Perpetual Peace Poems from Hiroshima, Nagasaki, and Okinawa』も刊行されました。

翻訳・
海外文学

イラスト・小林敏也について

小林敏也(こばやし としや)
1947年、静岡県焼津市に生まれる。1970年、東京芸術大学工芸科卒業。デザイナーかつイラストレーター。
イラストレーションの周辺をも視野に入れた、トータルな絵本づくりをめざし、青梅に「山猫あとりゑ」を営む。画本宮澤賢治シリーズはライフワーク。
他に、詩画集『賢治宇宙』、童話集『賢治草紙』、『賢治草双』、『ポラーノの広場』、『黄いろのトマト』寮美千子文『おおかみのこがはしってきて』、出井光哉作『才造どんとごろさくざゑもん』がある。
2003年、第13回宮沢賢治賞を受賞した。

鈴木比佐雄詩論集『詩的反復力』(1993) 装丁