コールサックシリーズ

上田由美子詩集
『八月の夕凪』
広島の夏は
街全体がこの時 停止する
晩景 色を伏せ
黙禱するかのように夕凪に従う

(詩「八月の夕凪」より)

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栞解説文:鈴木比佐雄
A5判/160頁/上製本
定価:2,160円(税込)

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発売:2009年5月30日





【目次】


八月の夕凪 10
赤いパラソル 14
行 列 18
炎の風車 22
赤い群れ 26
石 畳 30
靴をぬぐ 34
原爆ドーム 38
広島の川 42
過去からの声 46
奇蹟の友 50
遠ざかっていく友 54
刻 印 58
その日の空 62
その時 海は 66
宿命の桜 72
ヒロシマを詩う理由 76
言葉のかくれんぼ 80



分 身 86
ガラスの器 90
満ちてくるもの 94
月下の野仏 98
風媒花 102
風 景 106
黄色の追憶 110
ざくろ 114
花野から 118
椿 122
帰 郷 126
凍 蝶 130
時の向こう側 134
母の涙 138
薔薇のつぶやき 144


海軍兵学校 150

あとがき 156



【詩を紹介】


八月の夕凪


広島の夏は
夕凪が街を覆う
一日に一回 夕暮れ時
風を一斉に止め
木々が葉音を止め
空気が微動だにしない

広島の夏は
街全体がこの時 静止する
晩景 色を伏せ
黙祷するかのように夕凪に従う

この時間
公園のブランコはゆれ始め
ベンチには夕陽に透けて人影が座る
水面から蒼い光が立ち上がり
岸辺に浮いていた小舟を音もなく
滑るように漕いでいく
橋の欄干から
土手の芝生から
花時計の香りの中から
この世を懐かしみながら
追憶の糸をほぐしながら
ほんのりとかすんだ暮色に抱かれて
被爆者たちの霊が
無常の苦界に一時を憩う

やがて風が
夕凪の終わりを告げはじめると
街は一斉に動き始める
誰も束の間の鎮魂を見た者はいない

広島の夏を語り継ぐことの苦しさに
ケロイドの刻印を隠しながら
己の影を引きずったまま
人生を終えようとしている年老いた人々

私は被爆者として道の最中にある
原爆ドームを正視出来ない呪縛にとらわれながら
八月の鐘を音もなく鳴らし続けるのだ



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