コールサックシリーズ

石炭袋新書評論集

石村柳三詩論集
『雨新者の詩想』-新しきものを雨らす詩的精神-(1977-2006)

ひとはひとの吐く精神の世界だけに生きていけるものではない。ひとはそこにもっとのびのびとした自然の世界を求める。安らぎ、囁き、自己解放の自性というものを求めて。

解説文:芳賀章内、池山吉彬、鈴木比佐雄
A5サイズ、上下2段組、450頁
定価:2,160円(税込)

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石村柳三詩論集『雨新者の詩想』

発売:2007年4月25日



【目次】

1章 雨新者の詩想
雨新者―詩的感性を流脈する精神 12
生死海の風光―種田山頭火と高見順の命終観を通底して 16
宮沢賢治の詩精神《われはこれ塔建つるもの》小考 24
《デクノボー精神》 のエネルギーと宮沢賢治 28
詩人さまざま―ささやかな詩人命題論をつつんで― 36
『リグ・ヴェーダ讃歌』に見る詩想と詩人像 51
詩論はみんなドグマ―詩人にとっての内的な所感 66
詩人の転化精神―とくに詩人とはの関係において― 69
現代詩論 詩人の眼と転化について 74
明眼の人〈『正法眼蔵随聞記』と詩人精神について〉 80
《モノ的人間》の眼と自由 86
詩人のエネルギー―私のささやかな詩の捉え方 88
師について 94
夜汽車―消しえぬ望郷を背負った詩人二人 102
私の向日葵への思念―その金色の華の慈しみ 110
花について 114

2章 内在の声と原風景
鳴海英吉の内在の声と合掌の祈り―『鳴海英吉全詩集』(鳴海英吉全詩集編集委員会編) 118
『鳴海英吉全詩集』を繙いて―特に鳴海英吉の筆名(ペンネーム)について 122
鳴海英吉と不受不施派の研究―宗教史における庶民の信仰と自由心への詩眼をつつんで 129
生死回帰の「自然の眼」について―荒川法勝詩集『花は花でも』を流心するもの 140
荒川法勝著『長宗我部元親』(PHP文庫)―〈天下人〉を夢みて戦う戦国武将の宿命の生き様 148
春の時間の彼方へ―詩人荒川法勝の《命終の眼》小考 151
追悼 荒川法勝私論―魔界を背負いつづけた孤高文学者の叫び 163
詩人荒川法勝さんのこと―荒ぶる魂の心音をつつんで 170
詩人荒川法勝の墓―〈求道の声より他に、真の詩道の発光などあろうとも思わない〉 177
荒川法勝遺稿集『詩人』―原質にある自覚的な存在対話の必要性を表出 185
歌人二人 187
《歌人論》うたうだけ歌えば―加藤東籬の歌人魂に見るもの 193
忘れられた歌人 櫻井夢村―その歌の叫びと思念について 201
わが消しえぬ眼の結節―津軽民謡の風土と文学の風土 208
魂を求めつづけた詩人―ささやかな尼崎安四論 223
私の好きな詩人(詩)―我の中に我を詩う詩人・石川木 236
詩人清藤碌郎への手紙―評伝『福士幸次郎』を読んで 239
船水清随筆集『寒雑記』―津軽人エスプリの谺がする文章 243
わが花心―津軽の歌人中村キネさんに 247
原風景を問う詩人―《吉田啄子私論》―詩集『んだど』を読んで 251
ねぷた残像 257
天上の法楽 259
りんごの色 261
冬の津軽幻想―津軽三味線と民謡の叫び 263

3章 相の詩論
書評雑感 268
術語無ければ―森外の批評心寸感 275
独念独語―わたしの身近な俳句小感について 281
私の相の一冊〈中村元訳『スッタニパータ』〉―わが内心を流れるものを求めて 285
詩人小感―高橋新吉の詩心にあるもの 293
幻化の人―フランソア・ヴィヨンの言葉 300
批評精神寸感―メモランダム風な私の小詩観 303
吉本隆明の『仏典』小感―つねに己れを念じながら地を視てそしてゆくのです〈大智度論〉 307
ディオゲネスの眼 321
詩への願い 323
仏教的感性の詩想に《信》を視る詩人―坂村真民の呼応の聲 326
優れた鑑賞と解説について―高橋新吉と村野四郎の詩精神に流露するもの 328

4章 詩魔の岸辺 1
焔の詩人への手紙―遠山信男詩集『樹木の酒』を読んで 336
遠山信男著『詩の暗誦について』―生命的な磁場の《自己文化》として 338
温かで素朴な感情の精神詩―池山吉彬詩集『林棲期』 340
池山吉彬詩集『精霊たちの夜』―〈円熟された知的感性で死者(精霊)に問う声〉 342
朝倉宏哉詩集『乳粥』を味わう―時間と空間の彼方へ眼を向ける詩想の聲 343
生死海の哀歓を背負って―佐野千穂子私論(詩集『ダイビング』『永園』をつつむもの) 347
佐野千穂子詩集『ゆきのよの虹』『消えて候』を読む―美を見し眼の感性と本然の女心をつつんで 356
水崎野里子詩集『アジアの風』を読んで―詩想とリズムの狭間において 361
五喜田正巳『現代・房総の詩人』―現代房総詩人の横顔と詩性を語る俯瞰図 363
詩集『浄月院』高崎創―人生をつつんだ《詩と絆》の独語の詩魂 365
砺波みつ詩集『花と仕事着』―人間のしんじつの味があふれる感性 367
江波戸敏倫詩集『清流』―自己本然のやさしさの美学をうたう 368
伊藤貞夫詩集『大地を醸す』―大地(自然)と庶民の音色を大切にする詩群 369
星清彦詩集『月夜のうさぎ』―等身大の感性をきらめかせながら 370
詩集『聴花』高安ミツ子―自己生存の聲を《時間》のなかに聴く大切さ 371
大野京子詩集『木洩れ陽』―詩の品性に流れる諸行無常の音色 373
杉浦将江詩集『花に流れて』―《花》に秘められた愛の想念とは 374
中谷順子著『房総を描いた作家たち』―読ませる文体と力業の筆力 382
中谷順子著『続房総を描いた作家たち』―房総と六人の作家の精神的交流を素描 384
松下和夫エッセイ集『そこにあるもの』を繙く―人間のやさしさをもつ精神の根源を問う 385
可児不二男詩集『不確かな荒廃』―見失われた記憶への叫び 388
雑草の根の混沌としたものを―石井藤雄詩集『雑草のうた』 389
飯嶋武太郎詩集『豚声人語』―リアリズムに見る豚声回帰の重さ 390
詩集『漁師』 庄司進―作者の生き方の匂う詩心 391
風のごとき詩人 水崎野里子詩集『俺はハヤト』―アジアの血脈を問う声 392
鈴木勝著『関寛斎の人間像』を読んで 393
大籠康敬詩集『季節のなかへ』―飛翔生存への《心のフィルム》を求めて 395
高安義郎詩集『クラケコッコア』私観―内在の夢にもとめる飛翔心理の叫び 397
房総大地に影曳く詩人への手紙―鈴木豊志夫詩集『噂の耳』を読んで 402
中谷順子詩集『八葉の鏡』私論 408
『海からの手紙』西川敏之詩集―ネガ映像的詩心からの再生の手紙 413
近藤文子詩集『天からの音』―神秘をつつむ天音の生命讃歌の詩 415
追悼 三隅浩さん―天上の酒盛を想念しつつ 417
追悼 大籠康敬さん 419
哀悼 松本信洋さん―人世《生死海》の無常をみる 420
哀悼 左部千馬さん―畏敬の詩人への悲しみ 423
追悼 鳴海英吉さん―二枚の名刺の思い出 425

4章 詩魔の岸辺 2
浅野晃寸感 時を忘れてわれらは楽しく/時を失ってわれらは悔いる―(浅野晃詩集『寒色』「たきぎの時」より) 428
奥重機詩集『囁く鯨』―赤い血の海に問う人間と鯨への讃歌 431
成耆兆詩集/飯嶋武太郎訳『息吹く空』―山河の空に息吹く本源性の愛と聲 434
本田和也詩集『烏瓜の家』―原風景に問う自己再生のささやかな詩人の聲 435
発酵した言葉の密造者―神木健司詩集『葡萄の果肉』を読んで 438
片桐歩詩集『渇いた季節』―自己過去形の精神を絡めた青春性の心情詩 439
人間の存在性を時代に問うリアリズムの眼―松本信洋詩集『片割れを持つ者』 441
杉山平一著『三好達治 風景と音楽』―視点のリズムに美をうたった自由詩人 445
二人の詩人に流脈する求心と問いの存在精神―日本現代詩文庫『田中国男詩集』『大井康暢』を読む 448
村田正夫著『戦後詩人論』―社会性の視角から詩観認識と詩人論を語る 449
大井康暢詩集『墜ちた映像』―逆説的個の精神の孤独と哀しさを透視する 450
随筆集『一色少ない虹』 菊田守著―詩人が愛語する〈小動物〉への素描 451
〔新〕詩論・エッセイ文庫『夕焼けと自転車』菊田守著を読む―目線を低くして語る《自然愛詩人》の名言! 452

初出一覧 456
あとがき 462

花について
 ひとはひとの吐く精神の世界だけに生きていけるものではない。ひとはそこにもっとのびのびとした自然の世界を求める。安らぎ、囁き、自己解放の自性というものを求めて。
  その天然旅情の中に鳥や虫、草木とともに花がある。
  花は草木とともに古来から神話や伝説にも登場する。また『聖書』の中の百合、薔薇、『仏典』の蓮華、曼陀羅華、曼珠沙華などのように宗教的、信仰的な立場でも登場する。
  それは言い換えれば、花(植物)はわれわれ人間に、それほど身近なものであり、心情に映す一つの美しさと刻(とき)をもっているということであろう。
  花の自然に耐うる美の刻と人間の性の耐うる刻とが、天然旅情の感応で〈呼応〉するとき、 花はもっとも輝きその生美と、やさしさ、おくふかい花心を見せてくれるのだと思う。ひとも花ももっている自然(じねん)の《耐うる刻》こそが、互いに照射したとき真の花美詩美となりえると思うのだ。
  たとえばシャクヤク、 ボタン、 キク、 スズランのごとき貴族的 (都会的)センスの花? 野ユリ、 アザミ、 タンポポという庶民的(田舎的)花? であろうと、そこで貴いことは生美のもつ秘めたその〈刻〉であろう。
  わたしはそのような花々にあって、庶民的センスの野の刻をもつ花が好きである。
  とくに春のあざやかな日光を浴び、いばらず、いからず、自己を秘め質素にのぶとく、貴公子然と咲くタンポポが大好きである。咲き終えた後絮(わた)帽子は春風に吹かれ種子の落下傘となり、再生の刻を待つ。一つの幸福(しあわせ)を念じ、慈悲の願いをイメージするように。
  放浪の俳人山頭火は〈ふまれてたんぽぽひらいてたんぽぽ〉と、この花をうたっている。
  タンポポはわたしにとって思念内在を揺り動かす眼心の花だと言っていい。ふかい沈黙とともに。
(千葉市幕張町にて)

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